●国税庁に問い合わせ中

「ヒカル騒動」を受けて運営会社のVALU社(東京都渋谷区)は9月4日に1日の売買に上限を設けるなど、ルールを強化した。実はこれまでも利用者の動きや外部からの指摘を受け、たびたびルールを変更してきた。

「今は指摘や問題に対応してルールを整備していて、後手になっているように見えるかもしれないが常々アップデートしていく。利用者のリテラシー向上にも対策を取りたい」

 と同社代表取締役の小川晃平さんは説明する。

 また、VA売却で利益が生じれば、課税対象になる可能性がある。前出の斎藤弁護士は「課税対象になる」と話す。

「自分のVAを発行してビットコインと交換した人も、VAをビットコインで購入しその後、再度ビットコインに交換して利益を得た人も、いずれも課税はされるでしょう。日本円に交換しないと課税されないということはなく、他のカタチに交換した時点で課税となります」

 なお、VALU社は「課税の詳細区分も含めて、国税庁に問い合わせ中」(小川さん)としている。

●“金融市場中心”に疑問

 VALUは「SNS×クラウドファンディング」だと小川さんは説明する。VALUのサイトでは、「漫画家」「プランナー」「モデル」「ブロガー」「編集者」「アーティスト」など職業別に個人が表示され、個人の価値を見いだしてVAを購入し、応援する。

 前述のようにVAは株価のように売買によって価格が変動するため、売買で利ザヤを稼ごうとする投機筋も続々と参入している。また、個人の支援といっても、ヒカルさんのようなもともと有名な人に資金が集まりやすいが、

「現時点で著名人が注目を集めるのは仕方がない。でも半年後くらいには、VALU発の有名人が出てくるといい」

 と小川さん。VALUで目指すのは、組織ではなく個人の価値が評価される評価経済社会だ。「ポスト資本主義」を提案する京都大学の広井良典教授はこう話す。

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