7日夜に離党届を提出後、記者会見した山尾志桜里衆院議員 (c)朝日新聞社
7日夜に離党届を提出後、記者会見した山尾志桜里衆院議員 (c)朝日新聞社

「大変なご迷惑をおかけする事態になってしまいました。本当に申し訳ありません」

 年下の弁護士との不倫疑惑を報じた「週刊文春」が発売された9月7日夜、民進党の山尾志桜里衆院議員(43)が離党届を出した。声明文の冒頭で謝罪した相手は、有権者、同僚議員、党員、そして、「ともに闘ってきた同士でもある、子育てに奮闘するお母さん」たちだった。

 永田町では「若手」といわれる2回生。ブレークのきっかけは、匿名の母親が待機児童問題を告発したブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」を取り上げた、昨年2月29日の国会論戦だ。「匿名である以上、本当か確かめようがない」。小ばかにしたように質問をかわす安倍晋三首相を、舌鋒鋭く攻め立てた。

「安倍総理、一体どこを向いて政治をしているんですか」「ママたちはアベノミクスの『気分』ではだまされない」

 ブログへの共感は山尾氏への共感につながった。翌3月、民進党の発足にともない三役の一角、政調会長に抜擢された。そして9月1日、蓮舫前代表の辞任にともなう代表選で勝利した前原誠司氏は、党ナンバー2の幹事長に山尾氏を内定した。

 自民党はもちろん、旧民主党時代を含めた民進党でも党幹事長に女性が就くのは初めて。世間に向けた「選挙の顔」と同時に、カネや人事といった党内の実務を取り仕切る重職だ。世襲ではないママ議員として輝きを放つ山尾氏の存在は、永田町と同じ男社会の新聞社で子育てをしながら働く筆者にも励みだった。

 だが、複数の民進党議員は「経験不足だ」「絶対うまくいかない」と冷ややか。政府の役職がない野党は、ただでさえポストが少ない。階段を上り詰める山尾氏の足を引っ張ろうとする年長議員たちの声が呼び寄せたかのように、幹事長内定当夜の密会の場面を写真に撮られた。

 山尾氏は幹事長を受けようとしたようだが、衆院補選などへの影響を懸念した前原氏は、起用を断念。「女性幹事長」は水の泡と消えた。山尾氏は7日の会見で「男女の関係はなかった」と説明。ホテルには1人で泊まった、とした。

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