「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 今回は改めて、私が考えるローソングループの全体戦略をお話ししたいと思います。

 まず、全国に約1万3千店舗ある青い看板のレギュラーローソン。当然ながら「マス」のお客さまを意識して、幅広いニーズを取り込む店づくり、商品開発を進めていきます。特に、朝と昼だけでなく夕方から夜にかけても「使える」品ぞろえを目指し、生活全般を支援します。シニアも含めて核家族化が進む中、食材の調達からお総菜までコンビニで済ませることができれば、お客さまにとっても経済的で効率的。夕夜間の売り場の「改革」にご期待ください。

 逆に、ナチュラルローソンと成城石井では明確な「ターゲット」を定めています。それは、「ライフスタイルや健康に意識の高いお客さま」。マスは意識せず、どんどんとがって最先端の商品をご提供します。店舗数の拡大よりも、ターゲットを意識した戦略を貫くことのほうが重要です。

 ローソンストア100で重視するのは「バリュー」です。価格に価値を求めるお客さまに向けて、「100円」に徹底的にこだわりたい。かつては100円を超える価格の商品も品ぞろえし、売り上げ強化を図ったこともありました。でもこの戦略は、受け入れられなかった。100円でどこまで価値ある商品が提供できるのかを突き詰めます。

 そして、ユナイテッド・シネマ、ローソンチケット、HMVなどのエンタメ部門は、お客さまの生活に潤いを与える役割を果たし、ローソンの企業イメージアップにつながっていると考えています。

 こうした総合力が私たちの強みなのですが、最近になってもう一つ、気づいた「強み」があります。商品が「キャラ立ち」していることです。揚げ物なら「からあげクン」、チルド飲料では「グリーンスムージー」、ベーカリーでは「ブランパン」、スイーツでは「ロールケーキ」。分野ごとにパッと思い浮かぶ商品がありますよね。

 店舗でも商品開発でも、それぞれの強みを伸ばす経営を進めなければ!

AERA 2017年9月4日号

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竹増貞信

竹増貞信

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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