「ガラスの仮面」連載40周年! 最新刊について担当編集者が語る… 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「ガラスの仮面」連載40周年! 最新刊について担当編集者が語る…

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今展覧会のための特別描き下ろし原画 (c)Miuchi Suzue

今展覧会のための特別描き下ろし原画 (c)Miuchi Suzue

『ガラスの仮面』33巻から (c)Miuchi Suzue

『ガラスの仮面』33巻から (c)Miuchi Suzue

『ガラスの仮面』7巻から (c)Miuchi Suzue

『ガラスの仮面』7巻から (c)Miuchi Suzue

『ガラスの仮面』1巻から (c)Miuchi Suzue/新作能「紅天女」公演に関するお問い合わせ先:サンライズプロモーション東京/電話:0570-00-3337/【公演詳細】日時:8月29日(火) 18時30分開演/会場:二十五世観世左近記念観世能楽堂(銀座6丁目 GINZA SIX 内地下3階)

『ガラスの仮面』1巻から (c)Miuchi Suzue/新作能「紅天女」公演に関するお問い合わせ先:サンライズプロモーション東京/電話:0570-00-3337/【公演詳細】日時:8月29日(火) 18時30分開演/会場:二十五世観世左近記念観世能楽堂(銀座6丁目 GINZA SIX 内地下3階)

 少女マンガ史上空前のロングセラーとして多くの少女たちを演劇の世界に誘った「ガラかめ」。最終回はどうなる──。

 アニメやドラマ、舞台化もされた人気マンガ『ガラスの仮面』。連載開始から40年経った今も、絶大な人気をほこる、少女マンガ界のレジェンドだ。

 現在、コミックスが49巻まで刊行。累計で5千万部を突破し、今もなお、新刊の刊行が待たれている異例の作品だが、このたび初の本格的な原画展が開催されることになった。

 主人公は演劇の天才・北島マヤ。マヤは幻の名作「紅天女」の主役をめぐって美貌のライバル・姫川亜弓と演技を競いあう。果たして2人のどちらが「紅天女」を射止めるのか。物語は佳境を迎えている。

「10歳のころに映画『王将』を観たことが『ガラスの仮面』のきっかけなんです」と語るのは、作者・美内すずえさん。

 三國連太郎演じる主人公・坂田三吉は、将棋を指せば天才的なのに、日常生活はからきしダメな人物。幼い美内さんは「王将」を観ながら、「人間とはなんだろう?」という思いに打たれたという。

 2人の少女と演劇の魅力を描きながら、作品には物語のキーパーソンである往年の名女優・月影千草や複雑な生い立ちを持つ敵役・速水真澄=困難な状況のマヤを陰ながら支える「紫のバラのひと」、などなど、魅力的な人物が登場する。

●3世代にわたる読者

 美内さんは1967年、16歳の若さで高校生マンガ家としてデビュー。のちに上京し、24歳で『ガラスの仮面』の連載を開始する。

 競争の厳しい少女マンガ界で、異例の長期連載を続けてきた背景には、読者からの熱い支持がある。

「10代から80代まで、幅広い層からファンレターが届きます。今や3代にわたるファンという読者もめずらしくありません」(白泉社・前田太郎さん/「ガラスの仮面展」図録を担当)

 もともとの読者層に加え、97年に安達祐実が主演したテレビドラマによってファン層が下の世代に広がったという(「月影先生」は野際陽子が!)。

 ちなみに前田さんは、物語のキーパーソン・月影千草の生い立ちと「紅天女」の来歴が描かれた38巻をかつて担当した。

「それまでも連載の原稿をベースに大幅な改稿・加稿を行っていましたが、38巻はまるごと描き直しました。月影千草の人生をどのように構築するのか、『紅天女』とはどのような舞台なのか、作品にとっての謎が語られる巻でしたし、一冊の本としてどう描き、読者にどう見せるのか、美内さんも考え抜いたのだと思います」

 同社の柳沢仁さんは20代に美内さんの担当をしてから(35~37巻)、前田さんのあとに再び担当(39~41巻)になった。

「最初のときは自分も若かったですし、ドラマづくりの基本を教わりました」と、柳沢さん。

 連載当初、美内さんは「小学5年生から楽しめるように描く」と語っていたそうだ。

「あとのことを心配せず、読者が一番驚くように引きを作る──と話していました」

 まるで北島マヤを彷彿とさせる発言だが、美内さんにはライバル・姫川亜弓のような知的な面もある。

「『ガラスの仮面』は、マンガとしての普遍的な面白さ、基本要素を凝縮した作品だと思います。魅力的な主人公とライバルが対立する構図。成長しながら困難に立ち向かう主人公はあらゆる世代の読者を惹きつける魅力があります。美内さんは、エンターテインメントはどうあるべきか、妥協することなく、考えている方です」(前田さん)

 49巻が刊行されたのは、2012年のこと。最新刊が待たれるなか、現在の担当者、長谷川貴広さんに現在の状況を聞いてみた。

「物語の中の時間でいうと、結末の直前まで来ているんです。読者と一緒に、美内先生の原稿をお待ちしています」

●舞台から新作能まで

 演劇界でドラマが繰り広げられるだけに、『ガラスの仮面』の映像化、舞台化は数多い。よく知られているのは、前出の安達祐実主演のテレビドラマだろうが、88年には坂東玉三郎演出、大竹しのぶ主演で舞台化。08年に故蜷川幸雄も音楽劇として手がけ、14年からG2の脚本・演出で貫地谷しほり主演の舞台が2回上演されている。06年には、人間国宝・梅若玄祥がシテを演じる新作能「紅天女」も上演。日本各地で公演を重ねている。

「まだ完結していない『紅天女』の物語をどのように能として表現すればよいか、考えあぐねました。その結果、宝塚歌劇団の植田紳爾先生に脚本を担当していただくことにしたのです。作中の間狂言の工夫や、シテとワキの現代語でのやりとりなど、現代的な能といえる形にまとまったと思います」(梅若玄祥さん)

 新作能「紅天女」は原画展に合わせて8月29日、東京・銀座の観世能楽堂で上演される。

●海外でも人気

 イタリア人のフランチェスカ・マンクーゾさん(38)はアニメからマンガにはまり、ファンサイト「マヤのガラスの仮面(Maya’s Glass Mask)」を運営するようになった。熱烈なファンとして日本でも知られる存在だ。現在はデザイナーとしてイギリスで働くフランチェスカさんに、メールでインタビューした。

「マヤは情熱に満ちていて、自分の夢を追うために懸命に努力しています。そこに共感しています。そして<紫のバラのひと>である、速水真澄が大好きです。マヤのキャリアを密かにサポートする秘密の崇拝者です。多くの女性が彼を熱愛するのも当然です」

 物語は終盤、「紅天女」の主役として、マヤと亜弓、どちらがふさわしいかを決める試演が近づいている。

 読者とともに歩んできた、壮大な物語の行方を、楽しみに待とう。

(ライター・矢内裕子)

AERA 2017年8月28日号


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