18歳人口は減少に転じ、就職率など気にする必要もなくなるようにも思えるが、決して楽観はできない(※写真はイメージ)
18歳人口は減少に転じ、就職率など気にする必要もなくなるようにも思えるが、決して楽観はできない(※写真はイメージ)

 オープンキャンパス真っ盛りのこの季節。最近では親同伴で学内を回る姿も珍しくない。教育環境や入試倍率、学費もそうだが、“出口”の就職率なども気になるところ。いま、なぜ就職率なのか。AERA 8月28日号に掲載された安田賢治・大学通信常務取締役インタビューをお届けする。

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 ここ数年、景気回復と人手不足で売り手市場が続いている。18歳人口も18年以降は減少に転じる。そう聞くと、就職率などもはや気にする必要もなくなるようにも思えるが、決して楽観はできない。

 来年入学する大学生が就職活動をするのは21年だが、日本経済は五輪特需の反動で不況に陥っている可能性がある。すでに採用を減らし始めた企業もあり、売り手市場が続く保証はない。中長期的にも外国人労働者の増加や人工知能の普及で、求められる人材は少数精鋭になっていくだろう。そんな時代だからこそ、大学の就職力が重要になってくる。

 リーマン・ショック以降、一貫して強いのは工学系と医療系だ。工学系は製造業や情報通信だけでなく、最近は金融や商社など従来文系が多かった分野でもテクノロジー人材の需要が高まっているために、引きが強い。医療系も、高齢化と人手不足を背景に、高い水準を保っている。しかし人気分野でも、就職に対する大学のサポート力の差は大きい。特に新設が相次いだ薬学系は、全体の実就職率は下がっており、その中で強さを発揮しているのは京都薬科や星薬科のような伝統校だ。

 大学・学部の就職力を見極めるのに、今回のようなランキング以外で参考になるのはオープンキャンパス。親子で行くなら親御さんは就職について直接、質問してみるといい。パンフレットにはいいことばかりが書かれているが、具体的にどこの企業に何人就職したのか。資格系なら何人受験して何人合格したのか。そうした問いにしっかりと数字で答えられるかどうかで、その大学の本気度がわかる。

AERA 2017年8月28日号