●レンタカーも拡大中!

 ここ1、2年、目立ってきたのがレンタル専業企業の躍進ぶりだ。これまでにも「憧れるが、いきなり買うのは不安」という潜在顧客に宿泊体験の機会を提供するため、ビルダーやディーラーがレンタル事業を開始することはあったが、専業企業にも大手と呼べる規模の会社が出てきている。中でも、インバウンド需要を狙い展開しているのが、マクレントジャパン(本社・神奈川県)だ。

 取締役の佐藤正さん(53)はビルダー、ミスティックプランニング社の社長でもある。

「レンタル事業の拡充にはまず、車両台数の確保が重要。ですが、現在、どこのビルダーも生産が追いつかないほどの嬉しい悲鳴状態です」

 軽からキャブコンまで幅広い種類をそろえたいものの、各社まちまちな商品を仕入れてしまうと、メンテナンスや故障対応が煩雑になる。そこで、初心者にも扱いやすくシンプルな「マクレント規格」のレイアウト商品を開発。全国各地のビルダーにフランチャイズ参加を呼びかけ、各社での生産を目指している。

「規格化することで旅先でのトラブル対応や全国のサービス網の充実にもつながります」

 国内客だけでは需要が週末に集中し、平日には稼働しないという問題があったが、インバウンド客は平日対策にも有効だ。マクレント本社はドイツのキャンピングカービルダー、ハイマー社傘下であるため、ゆくゆくは「日本人が海外でもレンタルキャンピングカーを利用して旅をする、その窓口になれるよう、発展させていきたい」と期待を寄せている。

 レンタル業と自治体の地方創生事業をリンクさせる動きも始まった。レヴォレーター(本社・東京都)は新しいビジネスモデル「キャンピングカーde 町おこし」をスタート。第1号となったのは山梨県小菅村だ。道の駅こすげにJRVAのRVパークが誕生したのを機に、村内の有志と企業が出資してキャンピングカーを1台購入。それを同社が運用することでレンタル料が村に還元される。また、同社のレンタカーで小菅村を訪れるユーザーにはレンタル料金の割引などの特典も。自治体のキャンピングカー誘致とレンタル客の開拓を結び付けた、新しい形として注目されている。NPO法人多摩源流こすげスタッフ、森弘行さん(36)は「地方創生に不可欠な二次交通と宿泊施設。両方をカバーできるキャンピングカーと、村の豊富な観光資源を結び付けることで、さらなる活性化につなげられるのではないか」とその狙いを語る。

「遊びたい人」と「来てほしい人」をつなぐ結び目としても、キャンピングカーにはまだ多彩な可能性がありそうだ。

(ライター・浅野裕見子)

AERA 2017年8月14-21日号