●すぐ顔に出ちゃう

 そのつながりは、2016年の東京都知事選で証明済みだ。自民党は増田寛也元総務相を推薦したが、野田氏は小池氏の応援に。小池氏は16年9月に開かれた野田氏の政治資金パーティーで、

「野田先生が選挙を手伝ってくれた。『ここに行け、あそこに行け』と(野田氏の地元の)岐阜から指令が飛んだ」

 角谷さんはこう話す。

「離党したとはいえ、小池氏はそもそも自民党員で、安倍首相とも考え方が近い。自民が都民ファーストと連立を組むこともあり得る。野田氏の登用には、この先の政界再編を念頭においた自民党の考えもあるだろう」

 もっとも、小池氏の動向以前に、安倍政権はすでにぐらついている。今回の内閣改造では再入閣組が7人も含まれるなど、手堅い人事になっているが、森友学園や加計学園をめぐる疑惑はくすぶったままだ。

「各派閥からバランスよく指名し、挙党態勢を整えた。当面は安全運転しながら、世論の動向を見極めるだろう」(角谷さん)

 9月には臨時国会が召集される見通しだが、閣内に入って、言いたいことが言えない状況になれば、野田氏にとっても正念場だ。就任後の記者会見で、野田氏はこう話している。

「この職をいただいたときに、『あなたは耳の痛いことをしょっちゅう言うよね』と。総理自身も『すぐに顔に出ちゃうんだよね』というお話をされました。でも、『それを乗り越えていかなければいけない』と言っていただきましたので、適度な距離を保って、自民党の自由さとか、鷹揚(おうよう)さとか、もう一度みなさんにお示しできればと思っています」

 死中に活を求めた答えは、遠からず出る。

(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年8月14-21日号