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弔いだってデジタル化 四十九日まではロボットで一緒に

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長倉克枝AERA

市原さんのお面をつけたデジタルシャーマン(左)。アート作品として、文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞している(撮影/編集部・長倉克枝)

市原さんのお面をつけたデジタルシャーマン(左)。アート作品として、文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞している(撮影/編集部・長倉克枝)

メディアアーティスト・妄想監督 市原えつこさん(29)/日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作(撮影/吉次史成)

メディアアーティスト・妄想監督 市原えつこさん(29)/日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作(撮影/吉次史成)

自宅を離れて施設で暮らす高齢女性に、亡くなった夫を「デジタル供養」してもらったところ、「いつでも夫に会えるような気がする」(写真:瓜生さん提供)

自宅を離れて施設で暮らす高齢女性に、亡くなった夫を「デジタル供養」してもらったところ、「いつでも夫に会えるような気がする」(写真:瓜生さん提供)

東洋大学 ライフデザイン学部助教 瓜生大輔さん(33)/日本宗教学会などで学術研究発表を行う傍ら、供養や追悼のための商品企画・デザインに携わる(撮影/編集部・長倉克枝)

東洋大学 ライフデザイン学部助教 瓜生大輔さん(33)/日本宗教学会などで学術研究発表を行う傍ら、供養や追悼のための商品企画・デザインに携わる(撮影/編集部・長倉克枝)

 円鏡は普段は鏡として使えるが、前に立って数秒間じっとしていると、しだいに遺影が浮かび上がってくる。また、デジタルフォトフレームには普段は家族写真や日常のスナップ写真が映し出されているが、キャンドルホルダーのキャンドルに火をともすと故人の思い出の写真に切り替わる。

 6年前に母親を、2年前に父親を亡くしたという50代の女性は、自宅でこのセットを使い、

「両親がいつも見守っていてくれるようで楽しい」

 と感想を漏らした。

 仏壇よりもコンパクトで持ち運びも可能。そして、見たいときに見たい写真を見られる。価値観が多様化する中で、故人を弔う気持ちはあるものの、従来の仏壇はちょっと、という層に対応できるようになる、と瓜生さんは言う。

「仏壇は家族単位での弔いが根底にあります。デジタル技術を駆使すれば、一人暮らしの若者や、既婚の女性などにも、新しい供養の方法を提供できます」(瓜生さん)

●カスタマイズしやすく

 都市化やグローバル化が進み、家族中心から個人中心へと人の価値観が変わる現代で、多様な好みに合った形にカスタマイズしやすいデジタル技術は、より豊かな供養を人々にもたらす可能性がある。

「これまで日本人は遺骨や位牌といった形あるものを家族で継承してきました。でも、こうしたものの維持にはコストがかかります。一方、デジタルデータは画像や映像などを自在に操作できるので、個々人が自由な方法で故人を偲び供養をするのに適しています」(同)

 最近は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やブログに自身の日常の記録を残す人が増えている。

 瓜生さんは、

「こうしたデータも死後に活用できるような供養の仕組みをつくりたい」

 と話している。

(編集部・長倉克枝)

AERA 2017年8月7日号


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