マンガというジャンルの盛況が、北海道にいわゆる「オタク」文化と呼ばれるポップカルチャーの土壌を築いたことは間違いない。古くはハドソンなど個性的なゲーム会社の誕生、近年ではクリプトン・フューチャー・メディア社による初音ミク、さらには現代美術家の村上隆が参画したアニメスタジオ「ポンコタン」の設立などまで、数々のクリエイターによるトライ&エラーが繰り返されている。

 行政もこうしたジャンルの支援には前向きなようだが、長年の取り組みにもかかわらず、北海道のポップカルチャー全体が個性を主張し、発展するところまでは至っていない。元々がマンガという、クリエイターの独立性が強いジャンルに端を発しているせいかもしれない。

 しかし豊かな自然や食品のように、道民がその価値に気づかなくとも人々が驚くような作品はたくさんある。それを北海道ならではの魅力としてどうブランディングし、コミュニティーとしてカルチャーシーンを盛り上げていけるかが今後の課題になるだろう。(ライター・さやわか)

AERA 2017年7月31日号