世界にはばたいた“クールジャパン“が今夏、日本に逆上陸する。7月15日公開の映画「パワーレンジャー」は、20年以上、アメリカで戦い続けてきた“アメリカ版スーパー戦隊“だ。ロングヒットを続けるまでに成長した秘訣をひもとく。今回は、キュウレンジャー・シシレッド役・岐洲匠のインタビューを紹介する。
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ゲームが好きで、あまりテレビを見るタイプではなかったのですが、子どもの頃から高校生になっても毎週欠かさず見ていたのがスーパー戦隊です。心に残っているのは「侍戦隊シンケンジャー」。書道を取り入れた斬新な変身スタイルの作品で、この時、僕もちょうど習字教室に通っていて、親近感を持っていたのをよく覚えています。
ヒーローからはたくさんのことを学びました。相手の気持ちを考えること、人の助けになるような行動を心がけること。子どもながらに正しい行いとは何かを作品から感じ取っていたのだと思います。彼らに憧れるようになり、両親や友人には「自分もヒーローになる」と宣言していました。そんな夢が本当に実現するなんて、とても光栄です。
演技は勉強することが多く、皆さんに支えていただきながら、全力で臨んでいます。最初はつらいと感じたこともありましたが、今は気力充実。睡眠時間が多少短いことはあっても楽しさが勝っています。
スーパー戦隊は僕が生まれる前から続いているシリーズ。その伝統を演者として感じることは多々あります。例えばカメラマンさんの指示で立ち位置を変えたり、顔の向きを変えたりするときがあります。その場にいる自分に実感はないのですが、モニターで確認すると、見せるべきところが映り、全体の雰囲気も感じられ、そして自分の想像以上に格好良く仕上がっている。ヒーローをより輝かせるテクニックが完璧なんです。
監督から言われたことも忘れられません。「ヒーローでも普通の人間のように弱い部分がある。そこを克服することができるからこそ、強いヒーローになれるんだ」と。
子どものころから僕はヒーローから夢と希望、そして前に進む強い意志をもらいました。その気持ちを大切にして10代を過ごしました。今度は自分が子どもたちに何かを伝える番だと感じています。僕が演じるラッキーは元気いっぱいのキャラクター。そんなラッキーから元気、明るさ、リーダーシップなど、どんなことでもいいから何かを感じ取ってもらいたいです。(談)
(ライター・内山賢一)
※AERA 2017年7月24日号