ここで我々が考えねばならない点は二つあります。指揮官が将来を見据えて若返りという決断をする。そしてそれを我慢強く見守るファンの存在がチームを強くするということです。会社でいえば経営者が決断した思い切った若返り策を株主がどれだけ信頼して見守れるかが成功のカギを握っていると言えましょう。

 実は、成功している多くの企業はこうした株主との関係を築いています。失敗する企業は、経営者が株主の声を恐れて思い切った若返りなどの決断が遅れるケースが極めて多い。野球でも同じですよね。何億円も払って他球団からフリーエージェント(FA)でおっさんばっかり取って、それでも勝てなくて下位に沈むというケース(どことはいいませんよ笑)。

 経営者ができる唯一のことは、自分を時代に合わせるのではなく、時代を捉えられる新しい力の登用を躊躇なく決断することなのです。

AERA 2017年7月24日号

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ぐっちー

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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