私たちにはアマゾン以外も選択肢がある 京都大学特定教授・川上浩司 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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私たちにはアマゾン以外も選択肢がある 京都大学特定教授・川上浩司

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アエラがネットを通じて行ったアンケートでアマゾンのイメージをたずねると、「合理的でスマート」などと共に、「少し強引」「上から目線」などの声が寄せられた(撮影/編集部・片桐圭子)

アエラがネットを通じて行ったアンケートでアマゾンのイメージをたずねると、「合理的でスマート」などと共に、「少し強引」「上から目線」などの声が寄せられた(撮影/編集部・片桐圭子)

 システム工学にはサイバネティクスという理論があります。物理現象には一方向的な動きには「待て」という歯止めが自然にかかる。ネガティブフィードバックと呼ばれ、これで安定的な方向に収斂するのです。アマゾンの一部サービスはこの物理原則に反している。使い方によっては、逆のポジティブフィードバックがかかるからです。

 たとえば、「最初に少し売れた本がレコメンドによってランキング上位になる→上位に来たことでまたそれがレコメンドされて買われる→またランキングが上がる」という循環は「正」のフィードバックです。これは歯止めが利かない。火事や核分裂も同じ現象です。人為的にポジティブフィードバックの状態が作られているとすれば、物理現象としては異様と言えます。

 未知との遭遇には「偶然の出合い」が不可欠ですが、私たちは無意識に「一歩引く」ことでそれを可能にしています。たとえば、書店で本を探すとき、通路が狭くて目の前に本が迫っている店より、広くてボーッと眺めながら本を探せる書店のほうが「出合い」は多い。アマゾンのサービスはその「一歩引く」をさせてくれない。次々と来るレコメンドや与えられたダッシュボタンだけを見ていると「偶然」とは出合いにくくなります。

 選択肢があることを忘れてはいけない。できることを「させてもらえない」状況に陥ってはいけない。アマゾンを自覚的に使いこなすためにも、「一歩引く」「意思を持って選ぶ」行為の重要性を忘れてはならないと思います。

(構成/編集部・作田裕史)

AERA 2017年7月24日号


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