小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。オーストラリア行きを決断した顛末を語った新刊『これからの家族の話をしよう~わたしの場合』(海竜社)が発売中
小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。オーストラリア行きを決断した顛末を語った新刊『これからの家族の話をしよう~わたしの場合』(海竜社)が発売中

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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 海の日。子どもたちはいまから夏休みの水遊びを楽しみにしているでしょう。

 私が家族と暮らしているオーストラリアのパースはインド洋に面しており、町の西側は全部ビーチなので、自然と海に親しむ生活です。

 で、引っ越した当初何に驚いたって、あらゆる体形、あらゆる年齢のビキニがゴロゴロしていること。しわしわ、ぷよぷよ、ひょろひょろ、手術痕、妊娠線、年齢も赤ちゃんから80代まで、いろんなカラフルな水着姿があふれています。皺腹を波に洗わせて、夕暮れの波打ち際に寄り添って座っている老夫婦とか。当たり前ですが、子持ちだろうが老人だろうが泳ぐ時は好きなものを着ればいいんですよね。ちなみに私は浜ではビキニですが、泳ぐ時は寒いからラッシュガードを着ます。

 一方、ムスリムの女性のために、髪や肌が露出せず、体に密着しないデザインの機能的な水着「ブルキニ」を発明したのもオーストラリアのデザイナー。購入するのはムスリム女性とは限らないそうです。私の東京の友人も「あ、子どもと泳ぐ時に私が着たいのってまさにそれ!」と言っていました。フランスのビーチがブルキニを禁止して話題になりましたが、誰だって快適に海と親しむ権利があるのですから、理不尽な話です。

 東京で50代の女性の友人とそんな話をしていたら「ほんとにさ、ババアはビキニ着るなとか文句つけるアホが多いから、私は毎年、50代の女友達と集まって、好きなビキニを着ていろんなホテルのプールで泳いでいるの。みんな美魔女でもなんでもない、普通のおばさんよ。これを日本の水辺の普通の風景にしなくちゃね」と笑いました。

 日本でおばあちゃんの水着姿が当たり前になるのはいつのことかな。女性同士のダメ出しも不毛ですよね。ファッションと年齢の話になるといつも、女性の身体は誰のものなのだろう、と考えてしまいます。

AERA 2017年7月24日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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