日本でアマゾンが形成する市場だけで約1.2兆円(売上高)。「死角」を狙ってその市場に挑む企業もあれば、市場の中で「勝ち抜け」を図る企業もある(撮影/写真部・小山幸佑)
日本でアマゾンが形成する市場だけで約1.2兆円(売上高)。「死角」を狙ってその市場に挑む企業もあれば、市場の中で「勝ち抜け」を図る企業もある(撮影/写真部・小山幸佑)
岩田彰一郎(いわた・しょういちろう)/文具メーカー・プラスで、アスクル事業推進室を立ち上げた。1997年にアスクルが分離独立し、社長に就任(撮影/加藤夏子)
岩田彰一郎(いわた・しょういちろう)/文具メーカー・プラスで、アスクル事業推進室を立ち上げた。1997年にアスクルが分離独立し、社長に就任(撮影/加藤夏子)
山脇晋治(やまわき・しんじ)/1995年入社。関西支社の営業戦略担当課長、マーケットビジネス推進部で映像ビジネス担当課長などを経て、現職(撮影/写真部・岸本絢)
山脇晋治(やまわき・しんじ)/1995年入社。関西支社の営業戦略担当課長、マーケットビジネス推進部で映像ビジネス担当課長などを経て、現職(撮影/写真部・岸本絢)

 2000年に本のECサイトとして日本に上陸したアマゾン。いまやあらゆるものを扱い、他の追随を許さない巨大ECサイトに成長した。一方で、アエラが行ったアンケートでは、回答した137人のうち「アマゾンを使っている」と答えた人が96%。同時に、「できれば使いたくない」と答えた人が44%もいた。拡大の原動力は。便利なのに不安にさせるものの正体は。AERA 2017年7月24日号では「アマゾン」を大特集。アマゾン・ジャパンのキーマンたちに話を聞いた。

 日常生活の隅々にまで入り込むアマゾン。指をくわえて見ているのではなく、立ち向かおうという日本企業がある。狙うのは、アマゾンの「死角」だ。

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 7月6日、セブン&アイ・ホールディングスと、オフィスへの文具宅配で成長してきたアスクルの提携が発表された。11月から、アスクルの個人向けネット通販サイト「LOHACO(ロハコ)」内でセブン&アイの冷凍食品や生鮮食品を売る「IYフレッシュ(仮称)」が始まる。

 とめどなくサービスを拡充するアマゾンに、対抗できる日本企業はあるのか。セブン&アイとアスクルの提携は有力候補だ。ジャパンEコマースコンサルタント協会代表理事の川連一豊さんはこう話す。

「『ロハコ』は女性の支持が厚く、アマゾンとは違うブランド力がある。セブン&アイの商品力が加われば競争力も上がる」

 アスクルが運営する個人向けネット通販として、2012年10月にスタートしたロハコ。17年5月期の売上高は、前年比2割増の約390億円。商品点数も約50万点とアマゾンに比べて多くはないが、「企業連携」と「情報共有」から生まれたデザイン性の高い独自商品や品ぞろえが、30~40代の女性に支持されている。

●小さな市場でも利益を

 その中心は、マーケティングデータを共有しネットならではの商品を共同で開発する「ロハコECマーケティングラボ」だ。17年7月時点で飲料、化粧品など124のメーカーが参加する。アスクルの岩田彰一郎CEOが目指すのは、「メーカーと消費者をつなぐプラットフォーム」だ。

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