家電量販店などビットコインを使える店が増えてきた。一方で、「規格」をめぐる分裂問題も浮上。不透明感は拭えない (c)朝日新聞社
家電量販店などビットコインを使える店が増えてきた。一方で、「規格」をめぐる分裂問題も浮上。不透明感は拭えない (c)朝日新聞社

 日本海にまた北のミサイルが着弾した。覇権国家アメリカでは“CNN”にラリアットする男が大統領だ。いつの世もリスクはつきものだが、いよいよニッポンもきな臭くなってきた。そんな時代に我が家の家計を、資産をどう守るか。苦難を乗り越え今に至る、隣の中国の「不動産投資」やインドの「金投資」から知恵をいざ、学ばん。AERA 2017年7月17日号では「中国とインドのお金を守る方法」を大特集。

*  *  *

 日本人の資産運用は保守的。現預金ばかりで、リスク資産を嫌う。そう言われてきたが、何を隠そう日本は世界一のFX(外国為替証拠金取引)大国だ。

 少ない元手で25倍までレバレッジ(取引倍率)を利かせられるハイリスク・ハイリターンの代表格のFX。その国内での取引額は2016年度、4900兆円。前年度の5500兆円からは1割近く減ったが、それでもGDP(国内総生産)の約10倍だ。

 6月半ばの平日夕方。都内のFXセミナーをのぞいてみると、40人近くが真剣な表情でパソコン画面をのぞき込んでいた。00年代半ばの円安局面でFXが大ブームとなった頃、海外メディアから「ミセスワタナベ」と称されただけに、てっきり女性が多いのかと思いきや、参加者の多くはサラリーマン風。外為どっとコムのFX口座開設者を対象に15年から16年にかけて行われたアンケートでも、回答者の85%は男性だった。

 外為どっとコム総研の神田卓也調査部長によると、仕事を終えた夕方からデイトレードしている30~50代のサラリーマン、というのがミセスワタナベの実像のようだ。ここ1、2年、円高に振れたこともあり、彼らの勝率は下がり気味。特に昨年は英国のEU離脱決定、トランプ政権誕生のいずれの局面でも予想がはずれたことから、年間の収益率をプラスにできた人は3割程度だった模様だ。

 神田さん曰く、FX取引で生き残る人の特色は、「レバレッジをかけすぎないあきらめ上手」。予想がはずれたらすぐに損切りするのがコツだという。

次のページ