報道によると、野田氏はかつて都議会で「日本国憲法は無効で大日本帝国憲法が現存する」「国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄すべきだ」と主張する請願に賛成したとのこと。おやおや「国民主権は傲慢」とは、都民ファーストとは対極の主張。意外な人が小池知事の腹心なのですね。

 政界渡り鳥の異名を持つ小池知事。日本新党ブームの時も、小泉ブームの時も、安倍さん人気の時も、傍らには小池氏の笑顔がありました。やがて永田町に見切りをつけ、土俵を移した都知事選。権力に寄り添う女性像ではなく、経験を積んだ政治家として男性社会のしがらみをぶった切る小池劇場に、女性たちも夢中に。ファッション誌はこぞって小池氏を取り上げ、日本女性のロールモデルと称賛しました。でも、ほんとうにそうかな。

 政治家は、印象よりも中身ファースト。小池氏が都政で、そして国政で何をしようとしているのか、彼女の本当の優先順位第1位は誰なのか、そろそろ冷静に観察するべき時ではないかと思います。

AERA 2017年7月17日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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