ゴールド仏具、おまえもか?

「その品物が非課税になるかどうか判断するのは、税務署です。仏具として購入したものなら相続しても課税されませんが、投資用に購入したと税務署に判断されれば、普通に財産として課税される」

 ならば換金すればいいと思っても、金価格は水モノ。さらに仏具には結構な加工賃なども乗せられているため、買った価格がイコール、金の売却価格にはなりえない。結局、先祖のご供養として、日々仏壇でチーンとやっておくのが、一番賢い使い道となるケースもあると思う。

●海外で働くしかない?

 そんななか「強いて言えば……」と根本さんが前置きして教えてくれた節税法はこれ。相続税なら「アパート経営」だ。
「賃貸経営の税金が軽減されているので、親が財産を前もって賃貸住宅にすれば、相続する子どもたちの税負担はかなり軽減されるでしょう。ただし……」

 賃貸住宅の全室借り上げなど、低リスクをうたうアパート建築業者は多いが、もちろんリスクはゼロではない。破綻した場合、大きな財産は大きな負債にもなりうるので、覚悟して。

 ほかに会社員なら、会社で許された副業を法人化する手も。経費などが計上できるので、副業の税金を節約できる場合が多い。とはいえ、これもあまり現実的ではないという。副業である以上、節税が必要なほど大きく稼いでいる人は一握り。法人化の手続きや帳簿つけなどの手間を考えると、節約分と見合わないことがほとんどとなる。

 最後に、「ちょっと大がかりですが」と根本さんが推す会社員の節税法を紹介しよう。税率の安い海外で働く方法だ。ちなみに根本さん自身も、本業の執筆活動やコンサルティングを行いながら、同時にマレーシアの現地法人で働く会社員の顔を持つ。マレーシアの企業で裁量労働制で働きながら、自身のビジネスで日本円を稼ぎ、税率の低いマレーシアで納税している。

「税金は住んでいる国で払うというのが基本ルール。税率の安い国に住み、ネットを使って日本円を稼ぐのが一番の節税になる。マレーシアにも、そんな日本人がたくさん来ていますよ」

 本気出すなら、そこまでやるべし。チーン。(ライター・福光恵)

AERA 2017年7月17日号