空き家、空き地などの遊休地は増加の一途。今年度から一部の耕作放棄地の固定資産税を1.8倍に引き上げる課税強化も (c)朝日新聞社
空き家、空き地などの遊休地は増加の一途。今年度から一部の耕作放棄地の固定資産税を1.8倍に引き上げる課税強化も (c)朝日新聞社

 親の看取りは誰しもが経験するもの。しかし、ゆっくりと最期のお別れをすることができなかったと、後悔する人は多い。まだまだ元気だからと、話し合わずにいると、その日は急にやってくる。お墓のこと、相続のこと、延命措置のこと、そろそろ話し合ってみませんか? AERA 2017年7月10日号では「後悔しない親との別れ」を大特集。

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 日本の持ち家率は61.7%と高く、65歳以上の高齢者についてみると、単身世帯の58%が一戸建てに住んでおり、夫婦世帯の一戸建てに住む割合は78.8%にもなる(総務省の「2013年住宅・土地統計調査」)。

 野村総合研究所は、2033年に約3軒に1軒が空き家になると予測しており、空き家だらけになる時代が始まろうとしている。

●遺言・家族信託の手も

「実家が空き家であったり空き家予備軍であったりする場合は、定期的な修理や清掃、片づけをして処分に備えるべきです」

 こうアドバイスするのは、空き家問題に詳しい川義郎弁護士(48)。東京都日野市で一人暮らしをしていた父親が施設に入居したため、自身の実家も空き家だ。月1回程度のペースで訪れ、不用品を処分。年に一度は建物の補修の必要がないか業者に確認してもらっている。

 15年の空き家対策特別措置法の施行に伴い、倒壊の恐れがあるなど周辺の生活環境に悪影響を与えかねない「特定空き家」に対し、自治体は補修や解体を求め、それでも応じない場合は代執行で解体できることになった。自治体から特定空き家に指定されると、固定資産税が最大6分の1、都市計画税が同3分の1に軽減される特例が受けられなくなってしまう。

 同法の運用について自治体にアドバイスを行っている立場から、川弁護士は「『特定空き家』への指定は、学校に近いなど人通りの多い場所にある物件や、近隣からのクレームが寄せられた物件から始まります。近所から迷惑な空き家とみなされないよう、きちんと管理に努めることが必要」と指摘する。

 空き家を管理するには(1)建物の維持管理(2)不用品の処分(3)権利の集約化が必須になるという。

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