閣僚や国会議員の黒塗りの高級車が多数駐車する国会敷地内。本会議が終了すると、次々と議員を乗せて国会を出る(撮影/写真部・東川哲也)
閣僚や国会議員の黒塗りの高級車が多数駐車する国会敷地内。本会議が終了すると、次々と議員を乗せて国会を出る(撮影/写真部・東川哲也)
国会内の自民党控室。党総裁である安倍晋三首相のポスターが貼られていた(撮影/写真部・東川哲也)
国会内の自民党控室。党総裁である安倍晋三首相のポスターが貼られていた(撮影/写真部・東川哲也)

 委員会採決省略の強行採決、実在した「怪文書」……。「安倍一強」のもと、自民党はなぜここまで傲慢になってしまったのか。その源流を「政・官の関係」「派閥弱体化」「小選挙区制」の現場で考察し、いかにして現在の一強体制が作られていったかを明らかにする。AERA 2017年6月26日号では自民党を大特集。

 安倍晋三首相とマスコミ関係者の会食が話題になり、“すし友”なる言葉も生まれた。新聞、テレビ、ネットメディアで働く政治記者やデスクは何を思うのか。

*  *  *

──第2次安倍政権になってから、政権とメディアの関係に変化があったと言われます。官邸からの圧力が強まった、首相がメディアを選別している……など、実際に取材しづらくなったと感じることはありますか。

新聞中堅(以下、中堅):顕著なのは、官僚が政権を過剰に守ろうとすること。森友学園や加計学園の一連の問題が典型ですが、情報公開請求をしても、とにかく資料が出てこない。国会議員からの追及に対して官僚が「調査は控えたい」と平気で答える。この態度は記者に対しても同じで、質問に回答したり、資料を出したりすることが当たり前だという前提が崩れている。

テレビベテラン(以下、ベテラン):官僚は政治家の態度を見て行動している。非公式の場ではあるけれど、中堅以下の自民党議員が記者に「あんな報道をしやがって」などと平気で言うようになった。昔は、政治家がメディアの報道姿勢に口を出すことには相当な覚悟と慎重さが求められたけど、今は何を言っても大丈夫だという慢心がある。

新聞若手(以下、若手):ある首相秘書官は夜回りで、「今日は○○社の記者がいるから話さない」などと居丈高な態度を取ったことも。一部の権力者が、好き、嫌いでメディアを選別している傾向はある。

──記者が公安に尾行されたりしますか。

中堅:それはないと信じたい(笑)。でもわれわれ記者の取材メモがどうも官邸に出回っているようです。官邸の政府高官から「誰と会っているのかなんて、メモを見ればわかる」と言われた記者もいます。

若手:昔から官邸はある程度そうした情報収集をしていたと聞きますが、第2次安倍政権になってから強まった。記者とのオフレコ懇談の場でも、政治家から「官邸に情報が漏れるからこれはメモにするな」と言われるほど。当然政治家は、当たり障りのないことしか言わなくなる。

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