一方、野田氏は再興のめどが立たない民進党との対立軸にこだわる必要はない、との考えだ。

「政党間で対立する代わりに、自民党内で切磋琢磨しなければダメなのに、そこが機能不全なのが問題なのです。今は自民党の長期政権維持がファーストで、国民生活は二の次の状況では」

 野田氏は言う。

「安倍総理を批判しろとは言いませんが、もっと自民党の中で健全なケンカがあっていい。自由が取りえの政党なんですから。私は党内で『もっと自由になろうよ』というメッセージを送りたい」

●ポスト安倍の行方は

「ポスト安倍」に関して政治記者の中でこういう見立てもある。

 森友、加計問題で安倍首相の総裁選無風3選があやしくなってきた。政権がダメージを受けた場合、田中角栄から三木武夫へといった、政権と距離の遠い人が総裁になった歴史がある。その線で行くと石破茂氏(60)が浮上する。ポスト安倍で総裁選になれば岸田氏も出馬するだろう。麻生太郎氏(76)は立候補はせず、キングメーカーを担うのではないか──。

 かつて参院のドンと呼ばれた青木幹雄・元参院自民党議員会長(83)。小渕内閣では官房長官を務め、小泉元首相の信頼も厚かった。10年に政界を引退したが、国会にほど近い砂防会館の事務所にはいまも多くの自民党幹部や政治家が訪れる。青木氏は最近、「自民党が一強で強いから押し切っていくでしょう。だけど世論はこれで済むかな」と周辺にもらした。森友、加計問題での対応の間違いが安倍政権の潮目となるのか。青木氏は遠くない政局の兆しを感じている。

(編集部・渡辺豪)

AERA 2017年6月26日号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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