「ここは内田さんの地元なので自民党は強いです。それが2月の千代田区長選では、小池知事が支援する候補者が勝ち、すごいと思った。ただ、小池知事のすごさの基盤は単なる人気だけのような気がしている。実績が見えないだけに、本当にこの人でいいのか、決めかねている」

「代わり」は存在する

 2月5日にあった千代田区長選では、自民党推薦の新顔候補が、小池知事支援の現職に完敗。自民党の候補者選びに影響力を発揮した内田氏が引退に追い込まれるきっかけにもなった。

 その自民党は今回、安倍首相や菅義偉官房長官らも前面に出て、「打倒小池」の選挙態勢を組む。「物事が決められない知事」(菅官房長官)を決まり文句に、小池知事の実績のなさを繰り返し強調している。

 今月1日、自民党にようやく離党届を出し、都民ファーストの会の代表に正式に就任した小池知事は3日、都内での遊説で、「私のことを決められないというが、決められないのは自民党のほうだ」と反論。「決められない人を決める選挙」のような批判の応酬に、すでにあきれ顔の有権者もいる。

 都内の大学で政治経済学を専攻する男性(21)は、千代田区に住んで約3年がたつ。ただ、出身県から住民票を移したのが遅く、今回の都議選が同選挙区で投票する初選挙になるという。

「小池さんがけんかしているのは古巣の自民党。国政では自民と仲のいい公明党が、都議選では小池さんと手を組む。何を基準にくっついたり離れたりするのか、理解できない。誰かの権力争いのための選挙ではなく、都民の生活がどう良くなるのかを各党には競ってほしい」

 大学の友人と話をしても都議選への関心は高くないと感じる。それでも男性は投票に行くと決めている。国政との関わりの中で、一つのモデルケースとみているからだという。

「安倍政権を支持する理由に、『他に代わりがいないから』という意見をよく聞く。この都議選では、安倍さんの自民に対して『小池さん』という強烈な『代わり』が存在する。国政選挙では消極的な判断で自民党に投票した人たちが、今回はどうするのか。とても興味がある」

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