病院長:民間病院では、そこまでは多くないですね。

開業医:診療方針も、病院によって違います。対症療法ではなく検査から始める病院だと、明らかな風邪の症状に対しても抗生剤を出すのではなく、感染ウイルスを調べる呼吸器パネルの検査からスタートするんです。検査だけで1万5千~2万円ほどかかりますし、患畜にも負担。そうしなければ、経営的にやっていけないのかもしれませんが……。

病院長:開業医の20%程度が年収300万円以下だと聞いたことがあります。診療時間を短くして回転率を上げ、ノルマを設けるところもあるとか。

開業医:診察して骨折していないとわかっていても、エックス線を撮ることはあります。それは、飼い主の納得を得るためです。ノルマと言われると、ちょっと……。

病院長:はやっている病院が、すべての飼い主にとって「いい病院」とは限らないですよね。言えるのは、ちゃんと時間を取って診察し、説明する獣医師がおすすめだということです。患畜だって病院に来てしばらくは、苦痛を我慢しているケースもありますから。

※取材は個別に行い、誌上で座談会形式に構成しています

(構成/編集部・長倉克枝、澤志保)

AERA 2017年6月19日号