獣医師3人が語った動物病院の実態とは (※写真はイメージ)
獣医師3人が語った動物病院の実態とは (※写真はイメージ)

 犬は「フレンドリー」だけど、は「ツンデレ」。猫好きにはたまらないその魅力が変わるかもしれない。人工増殖と給餌が野生を奪い、「犬っぽい猫」が増えているのだ。2017年は猫が犬の飼育頭数を上回る可能性が出てきた。猫ブームの勢いが止まらない中、ペットの世界に何が起きているのか。AERA 2017年6月19日号では、ペットを大特集。

 ペットブームでさぞかし潤っていると思いきや、総数減と獣医師増で市場は飽和状態だという。獣医師3人が語った動物病院の実態とは。

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開業医:うちは獣医師ひとり、1次診療のみのいわゆる町のかかりつけ医です。予防接種や風邪、下痢などが中心で、手術は猫の避妊・去勢まで。入院治療やより高度な手術が必要な場合は、24時間対応の提携病院に紹介しています。

病院長:うちは、1次診療から看取りまでやっています。

大学勤務:患畜は基本的に近隣の開業医からの紹介で来ます。犬も猫も腫瘍が半分以上で、手術が前提のケースが多いですね。手術が終わった患畜は、地域の病院に戻していきます。

●病院飽和で引っ越し

開業医:猫を飼う人にはぜひ知ってほしいんですが、脱走や転落による事故がかなりあります。2、3階からでも骨折することがありますし、タワーマンションの高層階からなら死んでしまいます。脱走防止や転落防止は必ずやってほしいですね。

病院長:異物を食べた犬の来院もよくあります。まれに何を食べたのか言いたがらない飼い主もいるのですが、靴下でもチョコレートでも正直に言っていただくほうが診療がスムーズです。

開業医:2次診療の紹介が間に合わないくらい、危険な状態になってから来院するケースもあります。猫はがまん強く、飼い主はなかなか不調に気づけない。先日、ぐったりした猫が来たのですが、末期の腎不全で、翌日には亡くなりました。体重減少や食欲不振、吐き続けるなど、サインは出ていたはずです。動物は言葉で訴えることができません。飼い主側が気をつけてあげてほしい。

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