行き場を失ったネコを殺処分から守り、適切な飼い主候補とマッチングさせる場も広がっている。NPO法人東京キャットガーディアンでは、特に里親が見つかりにくい成と暮らせる物件を紹介するポータルサイト「しっぽ不動産」を運営する。

●留守中の世話を解決

 不妊や去勢を怠ったことで飼い猫が繁殖し、何十頭にも増えて生活が破綻する「多頭飼育崩壊」などで保護された猫と一緒に暮らせる「猫付きシェアハウス」や、ボランティアとして保護猫を預かって同居できる「猫付きマンション」などが掲載され、空室待ちも出る人気だ。家主側の空室対策としても注目されている。これらの物件に住み、退去した人は全員、パートナーとなった猫を連れて新しい家に引っ越しているという。

 将来の「猫市場」で特に期待できる分野について、最新の技術動向に詳しいネコノミストの北さんは、「ペット」と「テクノロジー」を融合させた「ペットテック」を挙げる。とくにIoT(モノのインターネット)を活用したデバイスが有望だという。

「IoTを活用したペット家電は5年以内に普及すると考えています。現状のペットテックは欧米のベンチャー企業が先行していますが、本来は日本企業が得意とする技術を活用できる分野。どんなにペット人気が拡大しても、少子高齢化の日本市場だけでは限界がありますが、世界に目を向ければ大きなビジネスチャンスとなるはずです」

 17年になって、日本発のペット用IoTデバイスも続々と登場している。

 ペットボードヘルスケアは、飼い主が留守中でもえさを与えられる自動給餌機「スマートごはんサーバー ハチたま」(1万4800円)の販売を5月に開始した。離れていても、アプリでえさの量や時間を設定できるうえ、本体にネットワークカメラを搭載し、ペットの様子も映像で確認できる。

「留守中の世話は飼い主の悩みの種。ペットホテルに預けなくても、自宅で安心して留守番させられるデバイスをつくろうとクラウドファンディングなどで資金を調達し、開発に踏み切りました」(堀宏治社長)

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