「ギャップ萌え」は2020年まで続きそうだ(※写真はイメージ)
「ギャップ萌え」は2020年まで続きそうだ(※写真はイメージ)

 日本勢のメダルラッシュで幕を閉じた卓球の世界選手権。なかでも大会史上最年少の13歳で8強入りした張本智和の活躍は日本中を驚かせた。強さの源泉は集中力だ。

「信じられない。この子、1年と少し前は、まだランドセルを背負ってたんですよ!」

 舞台は、2017世界卓球選手権ドイツ大会。テレビ解説をしていた日本卓球協会強化本部長・宮崎義仁のこの言葉に「マジか」と衝撃を受けた方も多いだろう。大会史上最年少の13歳で8強入りした張本智和(エリートアカデミー)のことだ。

●中国直伝バックハンド

 張本は世界ランキング69位ながら、同6位の水谷隼(28)を2回戦で撃破。高度なプレーと「チョレーイ!」と叫びながらの派手なガッツポーズで、3、4回戦を勝ち進んだ。厳しい表情の試合中とは裏腹に、試合後は監督に頭をなでられて少年の顔。このギャップにファンは萌える。準々決勝で同3位の許(シュー)シン(※シンは、日偏に斤)(27=中国)に敗れたが、

「あと1、2年あれば勝てないことはない」

 と悔しがる姿は頼もしかった。

 小学6年生の時点で、前出の宮崎に「東京オリンピックまでに必ず出てくる逸材」と言わしめた。だが、こんなに早く頭角を現したのはなぜなのか。

 最年少8強の快挙には二つの要因がある。一つは、磨き抜かれたバックハンドだ。

 仙台で生まれ、2歳で卓球を始めた。世界選手権中国代表だった母・凌(44)と、中国の国体男子ダブルスで3位になったこともある元プロ選手の父・宇(47)から手ほどきを受けた。小学4年生だった14年、父と妹とともに日本国籍を取得した。

 1秒間に150回転する球を自在に打ち分ける技術や感覚は、幼いころから養わなければ身につかない。長くフォアハンドが主流だった日本卓球界にバックハンドの「振り方」を教えられるコーチはあまりいなかったが、小さいときから元プロの両親に中国直伝のバックハンドを教わったことは、大きなアドバンテージに違いない。

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