近所の家の猫「まるちゃん」と、アプリ「人猫語翻訳機」で交流を試みる。翻訳はともかく、様々な猫の鳴き声も用意されているので、猫の気を引くのにはいい(撮影/福光恵)
近所の家の猫「まるちゃん」と、アプリ「人猫語翻訳機」で交流を試みる。翻訳はともかく、様々な猫の鳴き声も用意されているので、猫の気を引くのにはいい(撮影/福光恵)

 犬は「フレンドリー」だけど、は「ツンデレ」。猫好きにはたまらないその魅力が変わるかもしれない。人工増殖と給餌が野生を奪い、「犬っぽい猫」が増えているのだ。2017年は猫が犬の飼育頭数を上回る可能性が出てきた。猫ブームの勢いが止まらない中、ペットの世界に何が起きているのか。AERA 2017年6月19日号では、ペットを大特集。

 なんと近年では、最新のアプリを使えば、猫が話す言葉が分かるらしい。研究で分かり始めた猫の気持ちとは――。

*  *  *

 昭和時代の話。「猫に小判」に引っかけた「猫にこんばんは」というダジャレがはやり、猫を見ると「こんばんは」と語りかける人が急増したことがあった。あれから30余年。技術は発達し、猫語で「こんばんは」が言える時代がきているらしい。

 使ったのは、人の言葉を猫語に翻訳するというスマホアプリ「人猫語翻訳機」。マイクに向かって人間の言葉を録音すると、すぐさま猫語に翻訳して、サンプリングしたネイティブ(猫)の声で、ミャーだのニャーだのと発音してくれる。

 これによると「猫にこんばんは」は「猫に、ニャ~ゴ、ミャウミャウ、ニャ~ウウ」。ただし、録音するたびにぜんぜん違う結果になるあたり、ジョークアプリなのが丸出しだが、とにかく顔見知りの猫4、5匹に、21世紀版の「猫にこんばんは」をやってみることにした。

●「翻訳機」はほぼスルー

 リアル猫の声が聞こえてくるだけに、最初は、チラッと視線を向けたり、耳が動くなど、多少の反応があるにはある。ちなみに自分は顔見知りの外猫に出会うと、勝手につけた名前で必ず呼びかけるが、ぴくりとも反応せずにスルーされることがほとんど。まあ、それよりはましな程度で、ましてや「やあ、こんばんは」とか、挨拶を返すふうの猫なんてゼロだった。

 そもそも鳴き声や動作の意味が色々わかっている犬に比べ、猫には解明されていない“言葉”が多い。東京農業大学農学部バイオセラピー学科動物介在療法学研究室の太田光明教授はこう話す。

次のページ