2030年。あなたの子どもは何歳だろうか。ちょうどこの頃、社会の中核を担うのは今の中高生だ。AI(人工知能)の進化で仕事も働き方も急速に変わり始めた。変化の加速度を考えると、学校選びの基準もこれまでと大きく違ってくる。もう「教育改革」など待っていては、わが子の成長に間に合わない。AERA 2017年6月5日号では、「AI時代に強い中高一貫・高校選び」を大特集。
多様性、主体性が生み出す国際的人材、グローバリズムとIT革新で激変する世の中で活躍できる人材をどう育てるか。変革の時代の教育のヒントを、欧米流から探った。
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東京から北陸新幹線で1時間強、全国有数の避暑地で知られる長野県軽井沢町に、世界各地から優秀な生徒が集まる高校があると聞き、やってきた。
「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)」。町内の教育施設などを借りて2010年からサマースクールを開いていたが、14年8月末、日本で唯一の全寮制インターナショナルスクールとして開校。海外の大学入学資格を得られる教育プログラム「国際バカロレア」(IB)の認定校だ。その第1期生が今年6月、初の卒業生として世界各国の大学へ巣立とうとしていた5月中旬、同校を訪問した。
浅間山のふもと、高級別荘地に近い山林の中、東京ドームと同じ約5万平方メートルの敷地にキャンパスが広がっていた。柔らかな木漏れ日を浴びながら、ヒップホップダンスの練習をする生徒たちの姿が見えた。会話は全て英語だ。同校では現在、39カ国から155人の生徒が学ぶ。教師34人の国籍も11カ国と幅広い。日本人よりも外国人の姿が目立つ校内にいると、日本であることを忘れてしまう。
ISAKの創設者で代表理事を務める小林りんさん(42)は、国連児童基金(ユニセフ)プログラムオフィサーとしての勤務経験を持つ。自身も高校時代、カナダの全寮制インターナショナルスクールに単身留学したことがある小林さんが目指すのは、「チェンジメーカー(変革する人)の育成」だ。