カリキュラムには物語の分析の他にも「問答ゲーム」などがある。例えば「あなたは◯◯が好きですか」の問いかけに「私は◯◯が好きです。なぜかというと……だからです。だから私は◯◯が好きです」のように、結論、根拠、結論の再提示で即答するレッスンだ。

●4技能をバランスよく

 日本の「国語」に相当するようだが、中身は似て非なるもの。担当の林宏之教頭は言う。

「外国人と日本人が議論や交渉を行うと、日本人は太刀打ちできない。外国語というハンディだけでなく、日本人が議論の仕方を学んでいないからです」

 日本の国語教育は読むことが中心で、聞く・話す・書く訓練は手薄な一方、欧米諸国ではこの4技能をバランスよく学んでいる。それゆえ欧米の人々は、全体と部分の関係性を構造的に捉える能力に長けているのだという。

「日本人の議論は感情に支配されやすいが、彼らの議論は冷徹なまでに論理的で批判的。だから討論や交渉の場では手強い」と林教頭。言語技術については「習得すれば議論や説明、記述力も上がり、生涯役立つスキルとなる。教養の基盤となっていくと思っています」と話していた。(ライター・柿崎明子)

AERA 2017年6月5日号