ロジムで使用しているロジカルシンキングのテキスト。「言えること」と「言えそうなこと」や、考えた筋道・論拠を書くようになっている(撮影/編集部・石臥薫子)
ロジムで使用しているロジカルシンキングのテキスト。「言えること」と「言えそうなこと」や、考えた筋道・論拠を書くようになっている(撮影/編集部・石臥薫子)

 2030年。あなたの子どもは何歳だろうか。ちょうどこの頃、社会の中核を担うのは今の中高生だ。AI(人工知能)の進化で仕事も働き方も急速に変わり始めた。変化の加速度を考えると、学校選びの基準もこれまでと大きく違ってくる。もう「教育改革」など待っていては、わが子の成長に間に合わない。AERA 2017年6月5日号では、「AI時代に強い中高一貫・高校選び」を大特集。

 論理的思考や探究型学習が大事と言われても、子どもが通う学校の授業は旧態依然。でも親自身も体験したことがないし──。いま、そんな悩みに応える塾が増えている。

*  *  *

「サバって食べたことある? サバって赤身かな、白身かな?」

「水族館に行ったことないからわかんなーい」

 早くもあきらめモードの小学2年生に、講師が語りかける。

「いやいや、テキストに赤身と白身の説明があるから、読んで自分で考えて予想してみよう」

 東京・代々木にある学習塾ロジムの「ロジカルシンキング」の授業だ。ロジムは、「一生ものの論理的思考」の育成を掲げ、2004年にスタートした。現在、都内2カ所の教室に小学生200人、中高生60人が通う。

 さきほどのサバ問題。子どもたちはテキストで「遠い海まで泳ぐので、筋肉がたくさんついているのが赤身」「近海であまり動かずに暮らしているので筋肉が少ないのが白身」という知識を得た。さらに「サバは銚子漁港で一番水揚げされている。銚子漁港は遠い海でとれる魚がたくさん水揚げされている」という文章を読んだところで、「遠い」というキーワードに気づいた女の子が手を挙げる。

「わかった! 赤身」

「なるほど。でも、絶対そう?」

「うーん、絶対じゃない」

「絶対じゃないの? なぜ?」

●常に「どうして?」

 ロジムでは、講師が常に「なぜ」「どうして」と問いかける。苅野進塾長は言う。

「大切にしているのは、習ったから自信を持って『言えること』だけでなく、教科書に書いてないし、100%そうじゃないかもしれないけど、『言えそう』なことを、『論拠』とともに提示できることです」

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