そんななか、ひときわ多くの見学者を集め、盛り上がっていたのが、プログラミング教材を紹介するエリアだ。それもそのはず。政府は情報化の進展を予測して、2020年からプログラミング教育を小学校で導入することを決定しているのだ。

 その導入に向けて、ロボットプログラミング教材などを紹介し、多くの見学者を集めていた学校教材会社のブースで、大忙しの営業担当者も胸を張る。

「商談も多く、手応えは十分」

●システム複雑化で憂鬱

 一方、導入する側の学校関係者の心境は複雑だ。会場で学校関係者に話を聞いたところ、「教育の情報化に異論はない」ものの、導入時の混乱を考えると、「不安だ」という声も多い。

「とくに教材以外の備品では、あれもこれもと機能を増やして、オーバースペックになっている製品も少なくないという印象です。付属品などを全部揃えようとすると、かなり費用がかさむうえ、複雑なシステムをマスターして使いこなす余裕が、先生たちにあるのかどうか……」

 中国地方のある私立の中高一貫校で、事務局長を務める男性はそう話す。

 十数年前、学校教育にパソコンを導入する現場に立ち会った経験もあるが、

「当時と比べ、社会のなかで学校が担う役割も重くなるなどして、先生や学校関係者の仕事量は確実に増えています。とくに人をむやみに増やせない公立校では、最新ツールを導入したものの先生が対応できず、死蔵されるケースも出てくるかも」

 首都圏の公立小学校で教員を務め、学校内のサーバー管理者も兼任しているという男性教諭は、こんな不満をぶちまける。

「国は口を出すだけ。私がいる自治体では学校のサーバー構築もほぼ教員任せ。プログラミング教育などが始まり、さらにシステムが複雑になる日が、今から憂鬱です」

(ライター・福光恵)

AERA 2017年6月5日