──では、消費者がリフォームするときには、どのような点に注意したらよいでしょうか?

A:相見積もりを取りすぎないことですかね(笑)。ウチはホームプロをはじめ、四つの仲介サイトに登録しているのですが、たまに同じお客さんの見積もり依頼が四つのサイトから同時に来る。その時点で、まともなリフォーム業者はやる気をなくします。「これは頑張っても、どうせ受注できないな」と。

B:価格だけで判断しないという姿勢は必要でしょうね。安さを売りにしている業者は、それなりの理由があると。

C:あとは見積書をキチンと見比べて、その根拠が不明な点は問い合わせるようにしたほうがいいでしょう。例えば「入れ替え工事一式◇◇万円」と書かれていたら、「どんな工事をするんですか?」と聞く。そうしないと、水回りの配管からすべて一式入れ替えてくれると思っていたのに、実際は目に見えるところだけの入れ替え工事だったりする。あとになって気付いても、文句をつけづらい。

A:相見積もりはお客さんが業者を見極める最適な手段かもしれませんが、相見積もりを通じて業者もお客さんを見極めていることは知っておいてほしいですね。

C:もともと価格の透明性が低いうえに悪徳業者が跋扈していた業界だから仕方がない面もありますが……もうちょっと上手に我々を使う方法を考えてほしいですね。稀に、警戒心の強い施主さんのなかにはずっと現場で我々を監視している方がいますけど、ああいうふうにされると職人のモチベーションはどんどん下がる(苦笑)。家は長く住むもので、リフォーム業者とも長く付き合えるもの。「二度とこのお客さんの仕事はやりたくない」と業者に思われるのは、施主さんにとってもいいことじゃないんです。

(ジャーナリスト・田茂井治)

AERA 2017年5月29日号