●本物の前に立たないと

 ここ最近、ブリューゲルの作品研究はますます熱を帯びてきているように見える。最後に、数百年にわたって作品が深読みされることを、ブリューゲル自身は天国からどう見ているのか。池田に代弁してもらおう。

「思いもかけない解釈もあれば、作家の意図通りの解釈もあって、多くの人に作品を感じてもらうのは、素直にうれしいことだと思います。どれだけ技術が発達して、作品の細部まで明らかになったとしても、やはりそのサイズは、本物の絵の前に立たなければわからない。ブリューゲルのような細密画こそ、一瞬でもいいから絵の前に立ってみてほしいです」(文中敬称略)

(ライター・福光恵)

AERA 2017年5月29日号