建診協の山口氏が語る。

「排水管の改修では職人さんが住戸に入ります。何月何日の何時ごろ作業をするので自宅にいてください、と周知してプランを組む。でも、必ず、現場で予想外の変更が生じます。一棟に何百戸も縦に入っている超高層では、住民への対応が極めて重要です。管理組合の協力なしにはできません。結局は、管理組合です。修繕をわがことと捉える公共感が不可欠なのです」

 タワーマンションも、歳月を経るに従い、一つ屋根の下に大勢が暮らす運命共同体の色合いを濃くしている。「大規模修繕+設備更新」はその試金石である。コミュニティーの質が問われるのは、一般のマンションと変わらないのかもしれない。

(ノンフィクション作家・山岡淳一郎)

AERA 2017年5月29日号