「現実から逃避するために転職を考えているようでは市場価値はありません。自分が何をできるか、何をしたいか明確にしていることが必要です」(広富さん)

 前出の阪部さんが指摘するのが、「経費処理がずさんな人」だ。

「目をつけられた時にまず洗われるのが経費処理の問題。経費がいいかげんだと積み上げた経歴を一発で破壊しかねません」

 MBA取得の前に、経費処理や朝の挨拶をきちんとすることが大切と阪部さんは強調する。

 社命で動くサラリーマン人生を歩んでいると、経験の幅を広げたいと言っても簡単にはいかないことも多い。まずは、社内で動ける機会を見つけて積極的に動くことだ。

「子会社への出向やプロジェクト参加などで、経営全体、事業全体を俯瞰する機会を持つことが必要です。修羅場をくぐればくぐるほど、転職市場での価値は高まります」(広富さん)

●今日から何ができるか

 そういった異動チャンスが少ない人はどうするか。森本さんは転職市場で引く手あまたのエグゼクティブの特徴は「名刺を2~3枚持っていること」だという。

「社内で希望通りの異動ができないようでしたら、社外のNPOなどで活動範囲を広げましょう。私も4枚持っています」

 阪部さんは、「スキルよりレファレンスを重視すべき」とも。

「40歳からは能力よりも『人格』で採用されます」

 そこで勧めるのが、「昔お世話になった上司とコミュニケーションを温めること」だ。転職の際、レファレンスを頼みやすいのだという。ほかにも、

・すべてのニュースを仕事に関連付けて把握すること
・5歳刻みで違う世代と人脈を築くこと
・嫌いな人と意識的に仕事をする機会を持つこと

 といったアドバイスがある。

 資格は必要なのか。森本さんは「資格学習で得られる人脈は貴重ですが、実務経験を積むほうが大事です」。一方で、業界を問わず必須なのが英語力だ。クイックの長嶋さんは言う。

「自動運転などの旬な業界でないのなら、英語力がカギになる。外資系や外国と取引する企業も多く、技術的な会話をしつつ取引先に正確に意図を伝えられる人材が求められています」

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