辛酸なめ子「リチャード・ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』に受けた衝撃」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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辛酸なめ子「リチャード・ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』に受けた衝撃」

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辛酸なめ子AERA
読むと人生の鱒釣りに挑むパワーがわいてきます(※写真はイメージ)

読むと人生の鱒釣りに挑むパワーがわいてきます(※写真はイメージ)

 子どもの頃読んで忘れられない本、学生時代に影響を受けた本、社会人として共鳴した本……。本との出会い・つきあい方は人それぞれ。各界で活躍する方々に、自身の人生の読書遍歴を振り返っていただくAERAの「読書days」。今回は漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんです。

*  *  *
「『アメリカの鱒釣り』の表紙へはしょっちゅう行く。今朝もあかんぼを連れて行ってきた」……高校時代、この本を読んだときは衝撃でした。詩なのか散文なのかネタなのか、シュールな文章と発想に心奪われ、感化されて、鱒についての新聞を作ってコピー機で印刷した18歳の思い出が。

「アメリカの鱒釣り」がおばあさんとクリーク(小川)を間違えたエピソードや、「アメリカの鱒釣りテロリスト」になった小学生の一団、本屋の2階で見ず知らずの裸体の女性と寝たら、あとで店の主人に「おまえはスペイン戦争で闘ったんだよ」と戦いの詳細を語られる話、1フィート単位で売られる鱒の小川の話など、脱力しつつ戦慄する内容。合間合間にクリークがでてきて、鱒が存在を主張します。そして淡々と運命を受け入れる庶民の姿も。クリークは人生を象徴しているのでしょう。読むと人生の鱒釣りに挑むパワーがわいてきます。

辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
1974年東京都生まれ。漫画家、コラムニスト。著書に『霊的探訪』他

AERA 2017年5月22日号


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