横山さんによると、たとえ年収1千万クラスの家庭でも、老後準備をしながら子どもを私立の小中学校に通わせるのは決して容易ではない。老後貧乏になって子どもに頼るようなことになっては本末転倒だ。教育費を重視するなら支出にメリハリをつけるのは必須で、たとえばマイカーは手放す、家族旅行は諦めるなど、思い切って他の支出を削る覚悟が必要だという。

 家計見直しで浮いたお金は、使ってしまわないうちに老後資金に回そう。ただし、手元に貯蓄がほとんどない場合はまず
「生活防衛資金」づくりが先決だと横山さんはアドバイスする。

「突然の病気や予期せぬ出費に備え、生活費の半年分程度は預貯金で備えておく必要があります。ある程度たまってきたら、老後資金の積み立てを並行させてもいいでしょう」

 老後資金の積立先としては、2017年から加入対象が拡大されたiDeCo(イデコ)(個人型確定拠出年金)が最も有利だ。積み立てたお金は全額所得控除の対象となるため所得税や住民税を軽減でき、運用で増えた利益にも課税されない。ただし原則60歳までは引き出せないので、生活防衛資金や教育費が十分に用意できていない場合はバランスを考慮して配分したい。

 老後資金づくりのツールとしてもうひとつ、横山さんが注目するのは、18年にスタートする「積立NISA(ニーサ)」だ。利益に課税されずに投資ができるNISA(少額投資非課税制度)の積み立て専用版といった制度で、年間40万円まで積み立てられる。現行NISAの非課税投資期間が5年であるのに対し、20年間投資が続けられるのが特長だ。iDeCoとは異なり、お金が必要になればいつでも引き出すことができる。

●未来は変えられる

「現行NISAでも積み立て投資はできますが、毎月一定額を投資していく積み立ては長く続けてこそ利益をあげられるので20年続けられるほうが有利。18年まで待って始める価値はある」

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