ひきこもりは長引けば長引くほど解消が難しくなる。家族との食事や会話すらしなくなることもある(撮影/写真部・岸本絢)
ひきこもりは長引けば長引くほど解消が難しくなる。家族との食事や会話すらしなくなることもある(撮影/写真部・岸本絢)

 ひきこもり期間が長期化し、親が死亡して生活に行き詰まるケースも出てきた。ひきこもる人たちが生きていけるようなマネープランの立案や支援は喫緊の課題だ。

 高校卒業以来、ひきこもっている29歳の息子を持つ田中庄子さん(仮名、61)は、がんに罹患したこともあり、息子の将来を案じている。息子は、深夜にチラシのポスティングの仕事をして月5万円の収入を得ているが、国民年金保険料は払っていない。

「マンションもローンが残っており、家も仕事も不安定な状況で、将来の年金ももらえないと……。考えなければいけないことが多すぎてどうしたらいいか分からない」(田中さん)

 KHJ全国ひきこもり家族会連合会では2004年から会員を対象にアンケート調査を行っている。「16年ひきこもりの実態に関するアンケート調査」によると、ひきこもり期間は平均10.8年で、調査を始めた04年以来、過去最長となった。また、親の平均年齢は64.1歳で、定年を迎えるケースも増えている。

 茨城県では16年6月から12月にかけて初めてひきこもりに関する実態調査を実施した。調査は県内の全民生委員、児童委員5261人に対して実施し、48.3%にあたる2542人から回答を得た。県は今年2月14日に調査結果を発表した。

「自分の受け持ち地域に引きこもり該当者がいる」と答えた人は約38%。該当者の年齢は40代がもっとも多く446人(30.4%)、次いで30代が378人(25.8%)、50代が237人(16.2%)だった。ひきこもり期間は10年以上が628人(42.8%)を占めた。

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 同県障害福祉課精神保健グループの担当者は、

「内閣府でもひきこもり実態調査を行っているが、対象が39歳までにとどまる。今回の調査で県内にも40代、50代のひきこもりが一定数いることが分かり、長期化しているケースも多いことが把握できた」と話す。

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