桂歌丸(かつら・うたまる)/1951年、五代目古今亭今輔に入門、のちに桂米丸門下となる。68年真打昇進。昨年、50年間出演してきた「笑点」を引退。2016年文部科学大臣表彰(撮影/写真部・長谷川唯)
桂歌丸(かつら・うたまる)/1951年、五代目古今亭今輔に入門、のちに桂米丸門下となる。68年真打昇進。昨年、50年間出演してきた「笑点」を引退。2016年文部科学大臣表彰(撮影/写真部・長谷川唯)

 名人から若手まで、平成「落語ブーム」が止まらない。大ベテラン、桂歌丸師匠は落語についてどのような思いを持っているのだろうか? お話を聞いた。

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 人間の年齢と同じように、落語にも年齢があると思うんです。極端なことを言えば、20代、30代の人間が、「文七元結(ぶんしちもっとい)」(三遊亭圓朝作の人情噺。江戸っ子の心意気が描かれる)や「居残り佐平次」(映画「幕末太陽傳」の原作にもなった古典落語の廓噺)をやってどうするんです。前座さんには前座さんがやるべき噺、二ツ目さんには二ツ目の、真打には真打の噺がある。そこのところをよくわきまえて進んでほしい。

 年を取っていけばいくほど、大きい噺はできるんですから、若いうちは土台作りをしてもらわないと困る。土台がしっかりしていないと、その上にどんな建物を建てても、崩れてしまいます。我々だって若手の時代には暴走したことも失敗したこともありますよ。

 失敗してもいい、いつ自分の過ちに気がつくかが問題です。気づくのが早ければ、立ち直るのも早いし、遅いと下手したら立ち直れなくなっちゃう。

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