生活権を侵害してまで思想統制を図ろうとする強固さは、維新という看板がなければ選挙に通らなかったであろう個性に乏しい議員たちと結びつかない。寄らば維新。そして、堂々巡りの大阪都構想。大阪の、行く先が見えない。(編集部・大平誠)

※注1)特別区設置住民投票
大阪市を廃止して5特別区を設置する「大阪都構想」実現の是非を大阪市民に問うた住民投票。投票率66.83%で賛成69万4844票、反対70万5585票の僅差で否決され、市長だった橋下氏は引退。しかし維新はその後も「都構想」の看板を下ろさず、再挑戦の意向を示している。

※注2)国旗国歌条例
維新の主導で大阪府では11年に、大阪市では12年に制定された「大阪府(大阪市)の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」のこと。君が代斉唱時に職員の起立斉唱を義務付けた日本初の条例。橋下氏は「国旗・国歌を否定するなら公務員を辞めればいい」などと免職もほのめかした。日本弁護士連合会は思想・良心の自由を保障する基本的人権を侵害する違憲行為などとする会長声明を出した。

※注3)授業アンケート
大阪府の公立学校で13年度から本格導入された教職員の評価システム。小学校では児童の保護者が、中学校、高校では生徒が各教員を評価し、それを参考に校長が授業を視察、5段階評価する。数値化しやすいように自由記述欄がない。結果はボーナスの基準となる勤勉手当に反映され、昇給にも影響する。

AERA 2017年5月1-8日合併号