軍人としての実績があるマティス国防長官やマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は与野党共通の信頼を得ており、トランプ氏は安保チームに助けられたと中林氏は言う。シリア攻撃で、政権につきまとうロシアとの疑惑の払拭を期待しているようにも見える。

「ただ、内政は外交と違う。法律を通すプロセスが関わってくるし、三権分立の統治機構も巻き込んだ難しさがある。大統領令で何でもできるわけではない」

 外交・安保で稼げる時間にも限度があり、その間に内政を動かせるかが勝負どころ。中林氏によると、目玉政策のオバマケア代替法案を再度出そうとする雰囲気があり、同じ失敗を避けるためにも、トランプ氏がどのような取引を共和党各派とするのかに注目しているという。

「まだ100日ですが、来年の中間選挙までそんなに余裕はない。自身の党が上下両院で多数を占めるいま、公約したことを早い段階で一つ一つ実現していかないとどんどん苦しくなる」

 と中林氏。トランプ大統領の政治手腕が試されている。(編集部・山本大輔)

AERA 2017年5月1-8日合併号