「トクホではそこに含まれる関与成分が健康によい効果を引き起こすとされていますが、実際にはそれだけで説明がつくわけではありません。『飲んだから効くかもしれない』と信じることによるプラセボ効果や『臨床試験に参加しているから気をつけないと』と思うことによるホーソン効果も無視できないのです」(大野准教授)

 プラセボ効果とは、砂糖玉のような偽薬を飲んでも、効果があると本人が信じることで、症状に改善がみられることを指す。また、医師や家族など周囲の人から効果が期待され、無意識のうちに健康的な生活をして改善効果が出るホーソン効果も知られている。

 こうしたプラセボ効果やホーソン効果は、トクホ以外でも多くの健康食品を摂取した時にも起こりうる。

「そもそも、これだけで健康に効く、という魔法のような健康食品はありません。トクホや健康食品によって、食事や日常生活に気をつけるためのきっかけになれば、と思っています」(大野准教授)

 良い効果があるはず。信ずるものは救われるというものなのかもしれない。(編集部・長倉克枝)

AERA 2017年4月24日号