「グレートテイストアワード」を運営するギルド・オブ・ファイン・フードのジョン・ファランドさん(撮影/高橋有紀)
「グレートテイストアワード」を運営するギルド・オブ・ファイン・フードのジョン・ファランドさん(撮影/高橋有紀)
Great Taste2016の冊子。地域別に受賞商品が紹介されている(撮影/高橋有紀)
Great Taste2016の冊子。地域別に受賞商品が紹介されている(撮影/高橋有紀)

 イギリスはまずい、は過去の話だ。極上の食材を育む自然、情熱的な生産者、賢明な選択のできる消費者。ブレグジットに揺れる中、違ったイギリスが見えてくる。5回シリーズでお届けする。

【おいしいイギリスの写真はこちら】

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“Pile it high, sell it cheap.”

 大量に仕入れて安く売れ。

 英国に本拠を置く大手スーパーTESCOは、70~80年代、このモットーを掲げて大きく成長した。

「30年前はクオリティや原料のことは気にもしない時代でした。いまは違います。その食べ物がどこから来たのか。誰が作り、何が入っているのか。消費者は食べ物の“パーソナリティー”を知りたがっています」

 イギリスはまずい、なんていう定説は過去のもの。そう説明するのは、世界最大規模の食品アワード「グレートテイスト」を運営するギルド・オブ・ファイン・フードのジョン・ファランドさんだ。

 小売り店に行けば、パッケージにグレートテイストのロゴのついた商品を目にすることができる。アワードは94年から行われており、今では年間1万を超えるエントリーがある。生産者の顔が見える、そして何より味も間違いのない商品を求める消費者にとって、グレートテイストは選択のひとつの指標になっているとファランドさんは自信をのぞかせる。

 審査員はシェフやバイヤーから、料理評論家、フードライターまでありとあらゆる食のエキスパートたちだ。評価が一致しない場合は審査が何ラウンドも繰り返され、厳正に判定される。

 一つ星から三つ星まである評価のうち、三つ星をもらえるのはわずか1.5%で、7割の商品は何の星も与えられないという。

「受賞を逃した生産者にも、必ずフィードバックを返しています。生産者はそれを参考に改良することができるので、全体のレベルも年々上がっているのです」

 百貨店などでイギリスみやげを選ぶときは、グレートテイストのロゴを目印にするのがいいだろう。

AERA 2017年4月24日号