●ベルと私には共通点

 いま、プリンセスに求められるのは「かわいらしさ」だけではない。必要とされるのは、強力なアイデンティティーだ。
「意図的に強い女性キャラクターを作り出すことに、意味はないと思う。女性は生まれつき強い存在だから。ベルがいつも、自分の気持ちに従って決心し行動する点を意識しました。ベルと私には、パリ生まれで読書好きという共通点があるの。彼女は私を触発してくれる存在。周囲に溶け込めなくて、少々変わったところがあるのよ」

 努力家で頭脳明晰(めいせき)。女優として活躍するかたわら米ブラウン大学を卒業し、在学中には休学留学制度を利用して1年間、両親の母校である英オックスフォード大学にも通った。

 国連の組織「UN Women」の親善大使としても活動し、2年前には世界経済フォーラムでジェンダー間の平等についてスピーチ。話題になった。フェミニストを自任する。

「ベルはキャサリン・ヘップバーンをもとにしたキャラクターだったらしいの。彼女の生きざまを見ると、フェミニストだったことは明らかじゃない? その点で、この役を演じる機会を得たのは名誉なことだと思う。ベルこそ現代の女性に必要とされていたキャラクターなのよ」

(在英ライター・高野裕子)

AERA 2017年4月24日号