「過度の期待はできないが、健康を意識する動機づけにはなる」(50代・泌尿器科・勤務・男性)といった声もある。

 健康食品の広告に対しては、「誇大表示」(50代・消化器内科・開業・男性ほか多数)、「規制すべき」(60代・総合診療・勤務・男性)、「データのN値(総数)が小さくて怪しい」(50代・眼科・勤務・男性)のほか、「論文とは結びつかない飛躍した考えを述べて販売している。同じお金でおいしいものを食べたほうがはるかによい」(60代・消化器外科・勤務・男性)という意見も寄せられた。

 石見医師によれば、これも医師の性だという。

 統計の知識があり、対象者数が極端に少なかったり、結果に有意差が出ていなかったり、どの程度の「エビデンス」なのか、データを見れば判別できる。

「商業主義や宣伝文句は基本的に疑い、うのみにしない習慣がついています。それほど効果があるのなら、まず薬になっているはずですから」(石見医師)

 医師が健康商材を手に取ることもあるが、一般人とは温度感が決定的に違う。前出の救急外科医の男性(35)は言う。

「当直明け、エナジードリンクを飲んで手術に臨むことはあります。控室の自販機に入っているんです(笑)。効果はそれほど期待していません。カフェインを取って、気合を入れるおまじないのようなものです」

 とはいえ、医師らも自身の健康には不安を抱いている。小児科医の女性(35)は言う。

「まだ特に不調はなく、20代の頃から3キロほど太ったくらいです。食生活が乱れていることに問題を感じています」

●余命が5年縮んだ

 時間の不規則な1日2食。夕食は24時近くなることもあり、翌朝は胃がもたれ、朝食は抜く。出産したいから、いずれ働き方を見直すつもりだという。

 外科医の男性(35)は言う。

「若い頃は引き締まった体だった医師も、年を取るにつれ、着実に太っていく印象です。40を過ぎると、高血圧や高脂血症になる医師も多い」

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