店頭には、「子どもの成長の応援」を目的とした様々な商品が並ぶ(撮影/写真部・片山菜緒子)
店頭には、「子どもの成長の応援」を目的とした様々な商品が並ぶ(撮影/写真部・片山菜緒子)

 体がダルい。どうにも頭が重い。でもはっきりと名前が付く病気というわけではないから、病院には足が向かない。そもそも、平日の昼間に仕事を抜け出す余裕なんかあるわけない。これが、過剰労働社会ニッポンの「現実」だ。AERA 2017年4月24日号では「ダル重」を大特集。あまたある健康ビジネスに踊らされることなく、このダル重を解消するには、どうしたらいいのだろうか。

 近年、効率的に栄養が取れる健康食品やサプリメントを、子どもに与える親が増えている。しかし、国立健康・栄養研究所の食品保健機能研究部部の梅垣敬三部長は、この現状に警鐘を鳴らしている。

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 3歳になる娘の皿の上には、今日も食べ残し……。神奈川県在住の自営業男性(41)の長女は、好き嫌いが多いうえに食が細く、食事に手を付けないこともある。男性はそんな娘の栄養状態が気がかりだ。最近はおやつでビタミンやカルシウム入りのスナックも与え始めた。ただ今は身体ができる大事な時期。効率的に栄養が取れるようサプリメントを与えたほうが良いのでは、と時折妻と話すという。だがこうも思っている。

「子どものうちから与え始めると、大人よりも長期間サプリと付き合うことになる。後々で何か悪い影響が出るんじゃないか……」

 この男性と同じように、子どもの偏食に悩み、健康食品やサプリを与えようと考える親は少なくない。

●「サプリ与えた」が1割

 こんなデータもある。マーケティング調査会社のインテージによると、2016年度の1人あたりの健康食品・サプリメントの平均購入金額は約2万7千円。購入理由は67%が「本人利用のため」だが、5%の人が「子どもに与えるため」。国立健康・栄養研究所が16年に行った調査でも、約10%の家庭で子どもに錠剤やカプセル状のサプリを与えた経験があると回答。特に、高学歴・高収入の家庭に多い傾向があったという。

「情報収集にも熱心だし、読み解く能力も高い。ただ、ネットなど世に出回る『健康情報』には誤ったものも多く、注意が必要です」

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