岡田:ちょっと待って。どういうこと、サムライって(笑)。

小栗:准一くんは生き方がサムライみたいだからさ。いつ会っても、「俺もちゃんとしないと」って身が引き締まる存在。暇さえあれば本を読んでいて、体も鍛えてて、とてつもなくプレッシャーがかかる大作に次々挑んでる。20代前半の頃から同年代の役者として一緒にやってきて、准一くんがいてくれるから、俺も別の場所でプレッシャーの中で戦えるっていうのはあるよ。

岡田:一緒に仕事したいねと言い続けてきたから、このような作品で共演できてうれしかった。

小栗:本当に。

岡田:佑くんは天才肌の役者っていうイメージがある。役者が一目置くような役者というか。酔ったシーンの演技はまさに柄本家の「伝統芸能」だったし。

小栗:柄本家に受け継がれる酔っ払い芸!(笑)

岡田:僕が演じる篤と佑くんが演じる悟が再会して酒を飲むシーンでは、佑くんのグラスを持つ手が小刻みに震えているのを見て、さすがだなって。

柄本:いや、あれは頭がクラクラして、手が震えるほど緊張していただけです!監督や大作さんに加えて、サムライの岡田さんと小栗さんというすごい方たちに囲まれてたんだから!

岡田:芝居かと思ったのに。

柄本:震える手を見て、「悪くないかも」とは思ったけど(笑)。

岡田:監督からは、篤が抱えている感情の重さを出し惜しみせずに、目いっぱい表現してほしいと言われていて。

小栗:俺が演じた啓太は、すべてを背負いながらも、それを胸に秘めて家族を大切にするいい男。篤と会わない25年間をどんな思いで過ごしてきたのか、ずっと考えていたかもしれない。

柄本:僕は監督から、「もっと笑え」といつも言われてた。愛嬌のある雰囲気を出せれば、と。

岡田:この作品はテーマがはっきりしているというよりも、いい意味で「空白が多い」。大作さんの詩的な絵と降旗さんの哲学がどう折り合って一つの物語を紡ぐのか、それがうまみのような気がしてる。

小栗:そうだね。

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