「日用品のデザインにもプラスαのお金を払う人が増えている。ニトリやイケアの人気で、自分らしさをファッションだけでなくライフスタイル全体で表現したいというニーズを感じていたが、ここまで来ているのかと」(塗谷さん)

 思わぬ顧客も発掘できた。当初、家庭での利用を想定していたが、病院介護施設からも注文が相次いだのだ。「消臭」という文字がネガティブにとらえられがちな現場では高いデザイン性が奏功し、「介護する人、される人双方の気持ちが明るくなった」と喜ばれた。

●日用品もインテリアに

 ECマーケティングラボから生まれた成功例はリセッシュだけではない。同じ味のお茶なら1種類のパッケージ、という常識を覆し16種類ものデザインをそろえたのは、キリンビバレッジの「生姜とハーブのぬくもり麦茶moogy」。雑貨風のイラスト、「ツンデレな気分」「しばふでゴロン」といったネーミングが「服や気分に合わせて選べる」と話題になり、16年にはグッドデザイン賞も受賞した。

 木箱をイメージしたパッケージでそのままストックしても違和感のない王子ネピアのトイレットペーパー「KIBACO」もファンを増やしている。

 ロハコは、2月半ばに発生したアスクルの物流倉庫の火災の影響で現在、東日本地域で一部の商品が注文できず、商品の配送にも遅れが生じているが、9月末までの完全復活を目指している。「メーカーとECサイトならではのデザイン商品を開発する取り組みに変わりはなく、その成果を発表するイベントも予定している」(アスクル広報)という。インテリアになる日用品。進化は続きそうだ。

(編集部・石臥薫子)

AERA 2017年4月17日号