客層は40~50の男性が8割。ひと昔前に比べ時刻表の売れ行きは下がっているが、

「お客様は好きなものにはとことんお金を注ぐけど、必要ないものにはお金は使わない。それが顕著に出ています」(広瀬さん)

 最近は「鉄子」と呼ばれる女性も増えつつある。20~30代の女性客が買うのは本よりも店内に1千近くあるグッズだ。

 人気商品は、鉄道模型メーカー「カツミ」オリジナルの国鉄車両色の色鉛筆。JNRのロゴマーク入りで、初代ブルートレインの「青15号」など国鉄が制定した車両標準色24色を再現している。発売して4年になるが、

「今もプレゼント用に購入していく女性が多いです」

 と広瀬さんは話す。

 予想に反して売れているのは関東交通印刷の「日付印字機」。台湾からも問い合わせがある。

 広瀬さんにとって、又吉直樹の新作より寝台電車「583系」の引退のほうが大ニュース。

「5年前にビジネス書から異動してくるまで、鉄道をただの移動手段にしか見ていなかった。乗った車両や流れる車窓、見どころはたくさんあったのに」

 そんな後悔から、鉄道ファンでない人にも鉄道の楽しさを伝えられる場を目指している。

(編集部・塩見圭)

AERA 2017年4月10日号