「日本画というとおとなしいものだと思っている方もいらっしゃるでしょうが、そういう人にこそ、暁斎を観てもらいたいですね」 (※写真はイメージ)
「日本画というとおとなしいものだと思っている方もいらっしゃるでしょうが、そういう人にこそ、暁斎を観てもらいたいですね」 (※写真はイメージ)

「ゴールドマン コレクション これぞ暁斎! 世界が認めたその画力」展が開催中だ。海外でも人々を魅了する暁斎とは何者なのか?春風亭昇太さんが語るその魅力とは。

 浮世絵や日本画、そして数々の仏像など、近代化に揺れる日本では評価されず、海外に流出した美術品は多い。河鍋暁斎もまた、海外で評価されてきたアーティストのひとり。今、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている展覧会も、イギリス在住のコレクター、イスラエル・ゴールドマン所蔵のコレクションによるものだ。

 暁斎が生まれたのは1831(天保2)年。1837(天保8)年に浮世絵師・歌川国芳に入門するも、3年後に駿河台狩野派の絵師・前村洞和に再入門している。ときに「暁斎は浮世絵師か狩野派絵師か」と評価が問われるが、この後も暁斎は、伝統的な土佐・住吉派、円山四条派、琳派、文人画、中国画、西洋人体図など、貪欲に画法を学んでいく。今回の展覧会でも、日本画や仏画から動物の擬人化、妖怪や幽霊を描いた作品など、暁斎の自在な画業を観ることができる。

●海外で空襲免れる

 師・洞和が「画鬼」と呼び、画才を称賛した暁斎。ことに肉筆画には、生き生きとした筆致を観ることができる。

 里帰りした貴重な作品群から、暁斎の画境をのぞいてみよう。

 大河ドラマ「おんな城主 直虎」の今川義元役でも話題になった、春風亭昇太さん。『城あるきのススメ』などの著書もあり、歴史に造詣が深い。浮世絵も好きだという昇太さんは、今回の展覧会のナビゲーターとして、音声ガイドを担当。途中で短い落語も披露している。

「暁斎はスタイルも技法も違う、いろいろな絵を描いているのが、面白いですね。今回の展覧会名に『世界が認めたその画力』とありますが、日本画は本当は日本人が先に認めるべきだったんですよね。ただ、日本にあったら空襲で焼けてしまったかもしれないから、海外に出ていたのは、結果的に良かったのかもしれません」(昇太さん、以下同)

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