トランプ政権が人工妊娠中絶を支援する団体への補助金交付を禁じるなど、女性の多様な生き方に対する不寛容さが目立つにつれ、女性デザイナーたちも猛反発をみせている。

●ビジュアルという武器

 マドンナを含め反トランプデモの参加者たちが身につけていたプッシーハット(ネコミミ帽)をかぶって女性の権利を訴えたのは、アンジェラ・ミッソーニだ。プッシーハットは、客席にも置かれた。

「こんな不確実な時代だからこそ、私たちには、強く、安全な社会を保つための絆があることを自覚する必要がある。その絆は、人権を尊重する全ての人々を結びつけます。さあ、私たちファミリーとともに歩き、団結し、恐れていないことを世界に示しましょう!」

 こんな言葉とともに、フィナーレには、女性のシンボルを編み込んだニットを登場させた。

 LGBTや移民。人工中絶やエイジング。偏見を正当化しようとする流れが強まるにつれて、ファッション界からの声は大きくなっていくだろう。なにしろビジュアルという最強の武器を持っているのだから。

(ファッションジャーナリスト・藤岡篤子)

AERA 2017年4月3日号